ベースベーカリーのブログ

2021年7月第4週▲発酵ライのフォルコン、オリーブオリーヴ、ホワイトチョコベリー

サマータイム2週目にして、早くも「しばらく休業」の告知。本当に申し訳ございません。経緯を知らないお客様の為に少しだけ恥を曝しますと、秋の予定だった骨折をつなぐための金属を除去するオペが早まったことで、休業を頂きます。

心身共にすごくぶ元気で、このご時勢特有のPCRもパスして念願の異物除去に行ってまいります。「作り手の実感」の趣旨とは異なりますが、まず始めに、大きな声でお礼を申し上げたいとおもいます。早朝8時からのサマータイムへのご来店、そして「しばらく休業・休養」の影響をうけての早期完売のご迷惑、申し訳なさと有り難さに包まれながら、明日のオペに望みます。

皆さま、本当にありがとうございました!

フォルコン

発酵ライ麦を配合

予め発酵の工程を経た穀物をつかったパン作り。とても新しいアプローチではないかと思っています。

ただしかし、原料を予め発酵させるという工程にずいぶんと手間と時間をかけてしまっていて、現状では定番化が難しいパンです。そして、なにより、その労力がパンの味、香りに反映されているのかどうか。作り手としてはそのことがとても気がかりです。

作り手自身、よく思ってます。「手間をかければ美味しくなる」と考えるのは危険です。「美味しくなるのなら手間をかける価値がある」という感覚も大切に保持していたいと思っています。そして、その手間に見合う対価(商売ではお金ですね)が、作り手と消費者ともに、譲り合えるのかどうか。

手間と時間を費やした結果、たとえば50円高くしたいけれどいいですか?という作り手の思いに、消費者も納得してもらえて初めて成り立つ実験。とても有意義ですが緊張感のある勉強です。

発酵ライという、酸味の出やすい材料を使うものの、酸味は引き出さない手法を模索しながら焼いたパン。なぜそんな不自然なことをするのか、それは不自然な未体験の香りが醸せるからです。その上で、食事パンとして違和感無く、食卓に寄り添うパンとなっていたら、嬉しいです。

オリーブオリーヴ

2種類のオリーブを使うパンは、年に数回だけ焼くパンです。

その回数の少なさもあってか、毎回良くも悪くも込めてしまうパン。オリーブの量も多く香りの骨格も強く焼きがちなパンです。

今回は変えました。しばらくパンが焼けなくなるということも踏まえて、食事にあわせられるパンにしたいと考えました。具体的には生地から塩分をへらし、オリーブの量も若干へらしました。gあたりの塩分量がへったことで、塩気に余地がうまれます。その分、夏野菜の炒め物に少量のアンチョビペーストをつかってみたり、ハムやチーズを添えてみたり、お客さまの手をかりる味の可能性が広がります。そんなパンを焼きたいと思いました。

実際は生地から塩分を減らすことで作業性は悪化。発酵の速度も当然変わり、バタバタとあわただしいパン作りへと豹変しました。ゆったりとした食事パンを焼くつもりが、工房はバタバタ。そのギャップになんともいえない違和感を感じながらも、ああだこうだと考えていられる時間もありませんでした。この暑い季節にやるから尚更ですね。

出来上がってみれば塩気も程よく、酸味も程よく、あまみも出すぎず!

それを目指したのですが、言葉にするとなんでしょうか、マイルド?やさしい?ふつうにおいしい?

そういうパンを、一所懸命に作った訳ですが、作り手からしたら褒められた気のしない「ふつうにおいしいパン」を作ることの難しさ、奥深さに改めて気づかされました。目的をどこにすえるのかによって、塩分量や焼き加減、具材の量を変えていく「同じ名前のパン」は、今後も繰り返したいと思っています。

今回はパンに添え物をして、色々と楽しんでもらえたら嬉しいです。

【7/28加筆】今回は生地に古代麦のフレークを入れました。塩分を減らした生地でも味気なくならぬように、そう考えて乾いたフレークを混ぜ込んでいます。

アドリブ=ホワイトチョコベリー

大きなブロートサイズ(ベースの1本サイズ)で焼いている具材をつかったアドリブバージョン。

それを小さく焼いたというだけではなく、具材量やチョコのサイズ、クランベリーへの残糖(果糖)調整を試行錯誤したパンでした。こぶし大のサイズのパンに500円玉サイズのチョコレートをゴロゴロ入れて、所々2枚重なるよう配合することで、ショコラよりもやわらかいホワイトチョコレートに「食感」を持たせました。BIOクランベリーの上品な酸味が残るように配慮し、なるべく焦げないように温度にも気を遣いました、が、あふれたチョコレートはどうしても天板の上でカカオバターに揚げられるようにして焦げやすく、「むずかしい」と実感するパンでした。

製菓用ホワイトチョコレートというジャンルの商品には硬化剤が添加されており、熱を加えても溶けにくい加工(スコーンやクッキーの中のチョコレートなど)がされています。しかし溶けないための添加物が含まれないチョコレートは、当然ながら加熱で溶けてしまう。そこをどのようにクリアーするかが長年の課題で、未だに答えが見つけられずにいます。

温度を下げると生じるリスク、温度を上げると生じるリスク。この2つの狭間で上下に身をふりながらも、ここぞ!というストライクゾーンを見せてくれない、美味しいホワイトチョコレート。

白い粉をつかうとか、硬化剤の添加されたチョコを使うという答えもあるなかで、どうしてもそれ以外に答えを見出したいパン屋は、まだまだ不器用な試行錯誤をつづけるしかないのかもしれません。

現時点では、生地から溶け出して流れてしまうチョコの分量を全固体で計量して、その平均のg分を多くパンに配合し、そのチョコレートの原価はパンの価格に計上しない事で、答えが見つけられない「作り手側の許容」としています。

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