ベースベーカリーのブログ

2021年6月第4週▲麦芽フォルコン、ピーカンレーズン、いちご&ショコラ

麦芽フォルコン

麦芽=発芽させた麦を配合

「小麦の粒」を育てて発芽させたあと、乾燥させてから製粉することで「麦芽粉」を作っています。この粉を、求める質に仕上げることが難しくて当面向き合う課題です。いわゆる「*ハード系のパン?」には原材料にモルトエキスと呼ばれる小麦ではなく「大麦」の麦芽の加工品が使われています。その目的は生地に麦芽糖や酵素を加えるためなのですが、もちろんベースベーカリーでは必要を感じないので使用していません。今回の麦芽フォルコンには小麦麦芽を使っており、その1番の目的は香りの操作です。前回のライ麦フォルコンとも、普段のフォルコンとも違う特有の風味を楽しんで頂けたら嬉しいです。トーストすることで広がる香気も是非体験してください。

*生地に砂糖や油脂を含まない、あるいは少ない、またはそれらが含まれていても見た目がカンパーニュやバゲットに似ているパンのことを呼ぶ言葉の様ですが、定義のない非常に怪しい言葉です。シンプルに「パン」と呼びましょう。呼称で区別する場合にはあちら側を「ソフト系、菓子系」と呼ぶべきです。とはいえ、日本人同士で会話する場合には使わざるを得ない一面もあり、困った言葉です、。

ピーカンレーズン

ピーカンナッツ2倍で定番化!

パン生地に対しての具材の総量と、ピーカンナッツとレーズンの割合について、毎回の様に変えながら試行錯誤が続いていたパンです。約2ヶ月ぶりに焼いた今回、その配合は前回と同じにすることを選び、これでようやく「調整」が終ったので「定番化」としました。

ブドウとナッツをあわせるベースベーカリーの定番のパンといえば、ライ麦100%の「晩餐」。小麦100%のパンなら「カシューナッツとカレンツ(山葡萄)」で焼く通称「カシュカレ」があります。ピーカンレーズンは小麦のパンなので、カシュカレの配合がマッチすると思いきや、ダメなのです。まったく同じ量で置き換えても、ナッツの形状や質量が異なる為に少なく感じられ、味わいも貧弱でスライスした断面の色気も足りませんでした。その後レーズンの品種も色々と試した結果いまの食材と配合に落ち着き、一枚のスライスに含まれる具材量とバランスに適度な緊張感が生まれました。

おすすめの食べ方はトーストです。トーストする場合はスライスした際に見えるピーカンナッツの細長い断面が程よく色づくまで、強めにお願いします。果汁を豊富に含んだ弾力のある大きなレーズンのジャミーな食感はトーストしても失われないように工夫しています。

アドリブ

いちご&ショコラ

土曜日と日曜日とで違うスタイルで焼き上げました。形は土曜日は薄く仕上げ、日曜日は分厚く仕上げています。

土曜日はツイッターで告知したとおりトーストを想定して厚みを薄く仕上げています。日曜日はそのままかスライスを想定して分厚く大きく仕上げています。使用したイチゴはBIOのドライストロベリーなので色は赤ではなく、赤茶です。ココアを含んだこげ茶色の生地に赤茶のストロベリー、そして黒い点々はすべてカカオ60%のBIOのショコラです。自分としては見た目も香りもとびきり華やかなパンに仕上がりましたが、カカオの含有率を70%まであげて、ショコラの粒ももっと大きくすることで、このイチゴとの間にもう少し強い緊張感を持たせてみたい思っています。アドリブにも完成度は必要ですが、でもやはりアドリブです。作った後で、もっとこうしてもいいな、という思いが出てくるパン。ポジティブもネガティブも含めて、お客様からの声をたくさん聞かせてもらいたいパンです。

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