ベースベーカリーのブログ

2021年9月第2週

160時間の熟成を経たパン、2種類の販売

3種の小麦と2種類の酵母によるフォルコン

熟成という大きなテーマ。今回は最も長い時間を費やした、酵母にとっても作り手にとっても過酷な「熟成」となりました。160時間の熟成を経たパンはいかがでしたでしょうか。

ベースベーカリーをご利用くださるお客様にとっては、それほど衝撃的な見た目では無いと思いますが、世間一般的に知られる「パン」とは、だいぶ異なる性質のため、店頭ではサンプルを展示し、断面など確認いただけるように配慮させて頂きました。

作り手の実感

多くのパン屋さんに共通する寝不足、長丁場に始まり、温度を管理しながら、生地の状態を毎日何度も確認しては手を入れ続ける1週間。まだ見たことの無い景色が見えるルートがあるのではないか、という冒険心を十二分に満たしてくれましたが、「それにしてもたいへんすぎた」という実感です。

モノづくりにおいて「たいへんだ」とぼやくのは情けない事ですが、「この旨みを引き出すのに、これだけ費やさないといけないのか」というのが焼き終えた今日の正直な実感です。それでいて、おそらくパンが硬くなるのは早いと思われます(パンの寿命が短い訳ではございません)。

今回は2キロから3キロほどの大型パンからの量り売りでした。ベースベーカリーで焼く大型パンは通常であれば翌日からが食べごろですが、今日のパンは今日が食べ頃です。ムチっとした食感、「焼成が未熟なパン」にあるような食感でありながら、普段以上の高温で長い時間をかけて焼きこんでいます。「発酵が未熟なパン」にあるような背の低い膨らみでありながら、酸味が感じられるほど発酵は進めています。似て非なるもの、労力も費やす時間も違うけれど、入り口だけはなぜかすこし似ているから不思議です。しかし実際には、香りも味も旨みも全く違うから、報われる。ただ、これを続けることは難しすぎる、そんな長期熟成パンでした。

経緯を体験している作り手としては、この香りと旨みをそのまま体験して欲しいので、添えモノなしで食べたいパンなのですが、せっかく「パン」に化けたのですから、皆様には色々と食べ方も試してもらいたい。未体験の「美味しさ」と「新しさ」をみつけて、楽しんでもらいたいパンです。

ふろまーじゅ!

いままでは「フロマージュ!」でしたが、ひらがなにしてみました。

このパンも今日は断面が見えるようにサンプルを展示しました。しつこい程の熟成を経てチーズと小麦が1つの「別モノ」に化けてくれた、そんな実感を得ています。それがお客さまに求められるモノなのか、良いパンのか、そういった価値観は様々だとおもいますが、作り手がこのパンに込めている想いは、卵から蝶。「変態」なのです。

チーズのパン、というとパンの上にかかっていたり、中にコロコロとサイコロチーズが入っていたり、「チーズだ!」と喜べるパンがたくさんあります。そういうパンの楽しさや美味しさがある一方で、ベースベーカリーの「チーズのパン」は、チーズが見えません。探しても分からない。でも、探す前からチーズの香りが全面に主張してくるパンです。元々は別々の食材が発酵と熟成という工程を経験することで、別のモノに生まれ変わる。チーズの味がスイカになったりはしませんが、チーズの入ったパン、という印象とはだいぶ違う、「パンの形をしているけどチーズ!?」という様な、魅惑的なヘンテコ。そんなパンに、いや、チーズに、育てたいパン。

断面の上部、熟成で変質した頼りないグルテンが蜘蛛の糸のように細くみえるでしょうか。底の部分はネチッと重く、詰った様子が特徴です。部分的にフォーカスすれば「発酵不足」の様。気泡の詰った未熟な生地なのかと思って食べれば、圧倒的な旨みとチーズの香り。そのギャップに驚いてもらえたら、作り手としては成功です。

しっとりとした口解けの良いパンですが、実は明日、あさってあたりでトーストして欲しいパンです。その際、部屋中にチーズの香りが充満しますので、ご注意下さい☆

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